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河合雅司「人口減少ニッポンの活路」

【大学2026年問題】定員充足率が初めて100%を下回り「大学全入時代」に新たな局面 「激減する18歳人口の奪い合い」の行き着く先

18歳人口が激減する状況下で、日本の大学で何が起こるのか(写真は2025年1月の大学入学共通テスト/時事通信フォト)

18歳人口が激減する状況下で、日本の大学で何が起こるのか(写真は2025年1月の大学入学共通テスト/時事通信フォト)

 今年も受験生たちの奮闘が続いているが、その一方で、募集定員に占める入学者の割合=定員充足率が100%を切る大学が続出している。背景には、18歳人口の減少と、その流れに逆行するかのような大学の拡大路線がある。日本で加速度的に進む少子化や人口減少に対する警鐘が鳴らされる中、なぜ“限られたパイの奪い合い”が続くのか──。

 新書『縮んで勝つ 人口減少日本の活路』著者で、少子化時代の社会経済問題に詳しいジャーナリスト・河合雅司氏が解説する【前後編の前編。後編を読む

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 大学の「2026年問題」をご存じだろうか。2026年以降は大学への進学率が上昇したとしても、18歳人口の減り幅のほうが大きく、進学者数が減り続ける状況を予測した言葉だ。

 その予兆と言うべき数字が、文部科学省の「2024年度国公私立大学入学者選抜実施状況」に見て取れる。同年の各大学の募集総数は62万5188人だったが、入学者数は61万3453人で1万1735人も少なかったのだ。「定員充足率」(募集人員に占める入学者の割合)が100%を下回ったのは、データを確認できる限り初めてである。

定員充足率を大きく押し下げた私立大学(文部科学省「2024年度国公私立大学入学者選抜実施状況」

定員充足率を大きく押し下げた私立大学(文部科学省「2024年度国公私立大学入学者選抜実施状況」

 入学辞退者が出ることを見越して、募集人員より多くの合格を出す大学は少なくない。このため、かねてより「大学全入時代」と言われてきたが、定員充足率が100%を下回ったことで、新たな局面に入ったといえよう。

 2024年度の定員充足率を大きく押し下げたのは、私立大学だ。募集人員49万5700人に対して入学者数は47万9227人と1万6473人も少なかった。充足率は96.7%である。

 学生の獲得に苦しむ私立大学は増えてきている。

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