「問題社員」は会社にダメージを与える(イメージ)
社員がいなければ会社は成り立たないが、自分に都合のいい要求や過度に権利を主張する“問題社員”に悩まされる人事担当者や経営者は少なくない。労働問題に詳しい弁護士・島田直行氏は、「労働人口の減少」や「誰もが情報を得られる時代」が問題社員の“間違った自信”を助長しているのではないかと分析する。
島田氏の著書『知識ゼロからの問題社員のトラブル解決 円満退職のすすめ方』(幻冬舎)より、一部抜粋・再構成してお届けする。【全3回の第1回】
労働者を保護する法律がときに過剰な要求をうむ
ここからは、問題社員がうまれる要因について確認します。まずは労働者を保護する「労働法」の存在です。労働者を保護するという目的は正当です。たいていの経営者も社員の暮らしを守ることを信条にしています。しかし、この労働法の拡大解釈が問題社員をつくりあげることがあります。
例えば、協調性のない社員に「ほかの社員に合わせて」と指導したら「労働契約で協調性など求められていない」とすごい剣幕で反論されてしまいました。やむを得ずに解雇したところ、不当解雇と判断されたケースがあります。「経営としてのあるべき論」と「法律論としてのあるべき論」は、一致しないということです。ある経営者は、「労働法によって企業文化が失われていく」と嘆いていました。
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