年度が変わるこのシーズンに、引っ越しや住み替えを考えている人も多いはず。新築物件を探す際に大きな頼りとなるのが、不動産情報サイト、新聞の折込広告、電車の吊り広告などだが、せっかく良さそうな物件を見つけても、「価格未定」と記されているものも少なくない。なぜ一番肝心な情報である価格を知らせないまま、広告を出すのだろうか? 大手不動産会社に勤める40代の男性・A氏が、そのカラクリを語ってくれた。
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例えばある物件について、広告で「5000万円」という価格を明示した場合、予算が4500万円の人は、たとえその物件が気に入ったとしても、なかなか見てみようという気にはならないものです。けれども価格を明示しなければ、「とりあえず一度見てみるか」という気になるかもしれません。
もし、一度でも足を運んでもらえれば、「差し支えなければ、ご予算は?」「現在のお家賃は?」などと懐具合を探ることにより、「ご予算は4500万円とのことですが、ご主人の年収なら5000万円でもローンを組むことは可能です」「現在のお家賃とさして変わらない額で、物件を購入できます」といった具合に提案することができます。