新生活をするにあたり、新たなる土地に住み、これからの栄えある人生を獲得しようと考える人もいるだろう。そのためには、東京や大阪といった大都市へ行き、そこで一旗揚げることは一つの選択肢となる。とはいえ、東京は家賃が高い。お金のない若者が、そうした中で生活していくにはどうすればよいのか。
たとえ都心部であっても、風呂なし共同便所なら、家賃が格安の物件は存在する。27歳から29歳にかけ、渋谷から徒歩18分、家賃3万円の風呂なし共同便所6畳一間の部屋に住んだ経験を持つネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、当時の生活を振り返り、そこからいかにしてステップアップすべきかを解説する。
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地方都市であれば、3万円で、ユニットバス付きの1Kの部屋などはあるでしょう。しかし、東京ではそれはなかなか見つけられない。私が会社を辞めて無職になった27歳からそこそこフリーライターとしてお金がもらえるようになった29歳まで過ごした部屋は、2001年段階で築約45年の木造アパートで家賃3万円でした。現在築60年を超えたそのアパートは今でも健在です。その物件を扱った不動産屋に問い合わせたところ、大家さんが高齢でこれ以上は面倒を見切れないということで新規の契約者は募集していないものの、「月3万円って額は変わってないと思うよ」(不動産屋)との答えです。
空き部屋もあるようなので、不動産屋に掛け合えば、大家さんももしかしたら契約に応じてくれるかもしれません。そんな「渋谷至近3万円物件」の生活とはどのようなものでしょうか。
私は2001年以降はフリーランスの立場で、渋谷に本拠を構える会社と仕事をさせていただいているだけに、渋谷近辺に住居を構えることは重要でした。夜遅い時間に打ち合わせを設定された場合など、遠くに住んでいれば帰宅するのにタクシー代が5000円かかるのも当たり前の話です。無名のライターとしては、相手が指定する時間に合わせて打ち合わせに参加はせざるを得ないものの、その仕事で得られる金額のかなりを交通費に失われるのはキツい。