大手投資家から絶大な信頼を受ける朝鮮半島問題のエキスパートがいる。その見立てとそれを受けて投資家たちは、どう動こうとしているのか。海外金融機関の動向について詳しいパルナッソス・インベストメント・ストラテジーズ代表取締役の宮島秀直氏が解説する。
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北朝鮮を巡る問題で、外国人投資家が注目している人物がいる。米戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ氏である。同氏は、表立った発言はあまりしてこなかったため、一般的には知られていないが、朝鮮半島情勢のエキスパートとして大手投資家たちから絶大な信頼を得ている。
4月に北朝鮮の地政学リスクが高まった時点でも、米海軍の通常と異なる動きから、米第一空母打撃群の朝鮮半島集結を事前に予測していた。
そして、米トランプ政権が、北朝鮮への軍事的オプションを排除しない強硬方針を示す中、北朝鮮は、4月15日の故金日成主席の生誕105周年を祝賀する軍事パレードで、新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)とみられる兵器を続々と登場させた。
こうした行為についてのマスメディアの捉え方は、北朝鮮はこれまで同様、トランプ政権に対して力で対抗していく姿勢を強調する狙いがあるというものだった。さらに、4月25日の朝鮮人民軍創立85周年には、6回目の核実験をする可能性があり、もし核実験が強行されれば、米軍は軍事オプションを行使するかもしれない、という観測が盛んに報道されることとなった。