知名度の高まりに合わせて寄付金も増え続けているふるさと納税だが、今、曲がり角にきている。
ふるさと納税とは、たとえば地方に5万円の寄付をするとお礼に2万円分ほどの特産品がもらえ、住民税・所得税が4万8000円分安くなるという制度だ。実質2000円の負担で特産品がもらえるとあって人気拡大が続いてきたが、問題も表面化している。
一つが「返礼品競争の過熱」だ。
ふるさと納税では1万円の寄付に対し、もらえる返礼品は平均4000円といわれている。しかし、各自治体がより多くの寄付を集めようと豪華な返礼品を用意し調達コストが高くなり、「住民サービス向上」「地域活性化」といった本来の目的に寄付金が使われていないケースがあると、総務省は見ている。
また、一部の自治体では還元率の高い宿泊券や商品券、高額な家電や家具、時計などを返礼品に加えていることも問題視されている。そのため、総務省ではこの4月に「寄付額に対して返礼品は3割以下にする」「換金性の高いもの・資産性の高いもの・高額なものを返礼品として送付しない」ことを各自治体に要請した。
自身で年間150件以上のふるさと納税をしている“ふるさと納税の達人”金森重樹氏は、「総務省通知に強制力はありませんが、自治体も無視できないのが現実で、見直しが進むのは間違いないでしょう。今後、ふるさと納税が縮小しないか心配されます」と指摘する。