「住宅ローンの残債は退職金で支払えばいい」と考えて組んだ住宅ローン。ところが、退職金だけではローンを返せず、年金を当てにする。しかし、65歳を過ぎても年金がもらえない時代がやってくる。政府が「年金75歳受給開始」に向けて検討を進めているからだ。 するとローンを支払えなくなり、「破産」という危険が待っている。
国交省の住宅市場動向調査(2016年)には、住宅を取得したときの平均年齢に関するデータがあり、分譲マンションを取得した人の平均年齢は43.3歳、分譲戸建て住宅で38.9歳、中古マンションで46.0歳などとなっている。一方、住宅金融支援機構の民間住宅ローンの貸出動向調査結果(2016年)によると、住宅ローンの平均返済年数は25.4年だ。65歳を超えても返済が続く人が相当数いることを示している。
しかし、年金がもらえなくなり収入も激減する65歳以上になれば、経済的に厳しくなる。ここに住宅ローンの返済が重なれば、危機的な事態になりかねない。
「無収入に近くなれば住宅ローンが払えなくなりますので、場合によっては『自己破産』の手続きに進むこともあり得ます。持ち家があって自己破産する場合は、持ち家も破産管財人によって差し押さえられるため、家を手放さなければならなくなります」(弁護士の三平聡史氏)