劇場を中心に活動する売れない若手のお笑い芸人は、アルバイトで生計を立てていることがほとんど。しかし、所属事務所によっては、年に数回、アルバイトする時間さえ取れず、タダ働きで数週間拘束されることがあるという。元芸人の30代男性・Aさんはこう話す。
「知名度の高い芸人は、年に1度大きな単独ライブを開くことがあります。その際、手伝いに駆り出されるのが売れていない若手芸人。規模によっては、事務所の若手芸人総出で手伝いに駆り出されることもあります。売れている先輩芸人の数だけライブはあるので、その度に拘束されることになります」(Aさん、以下同)
手伝いの内容は、衣装づくりや小道具や大道具の製作、管理、先輩芸人の身の回りの世話など。本番では舞台のセットチェンジ、先輩の衣装の早着替えの手伝い、受付、お客さんの案内なども行う。また先輩から可愛がられている芸人は、エキストラとして舞台に立つこともあるという。
拘束日数は、本番を入れて2週間ほど。本番期間中は朝から夜まで劇場に缶詰め状態で、ギャラはなし。せいぜい食事として支給されるカレー弁当やカツサンドなどにありつけるくらいで、時々届く“高級菓子詰め合わせ”のような差し入れを持ち帰ることができたらラッキーなのだとか。