年金受給者は最低でも年間120万円(65歳以上の場合)の所得控除を受けられる。そのぶん、同じ額を給料として受け取るよりも、税負担は少なく済む。だが、今秋から始まる税制改正の論議では公的年金等控除を見直しに動くことが報じられた。この公的年金等控除が縮小・廃止されると、高齢者には所得税・住民税の大増税になる。
そして年金75歳支給へのカウントダウンも始まった。本誌・週刊ポストは政府が年内に閣議決定する新しい「高齢社会対策大綱」に年金の75歳選択支給が盛り込まれる可能性が高いと報じてきたが、内閣府の有識者会議は大綱策定のための報告書を10月にまとめる。
報告書の骨子案には、
〈戦後生まれの人口規模の大きな世代が65歳となり始めた今、「人生65年時代」を前提とした高齢期に向けた備え等を「人生90年時代」を前提とした仕組みに転換させる〉
〈高齢者の意欲や能力を最大限活かすためにも、「支えが必要な人」という高齢者像の固定観念を変え、意欲と能力のある65歳以上の者には支える側に回ってもらうよう、国民の意識改革を図るものとする〉
――という基本的考え方が書かれている。
65歳以上は高齢者ではなく、社会保障の「支え手」として働いて年金を負担してもらうというものだ。