9月25日の会見で「国難突破解散」を唱えた安部晋三首相は、少子高齢化を日本の最大の課題として、幼児教育の無償化や給付型奨学金の拡充を打ち出した。その「安定財源」として強調したのが、2019年10月に予定される消費税率8%から10%への引き上げによる税収増だ。
約5兆円の税収増のうち、2兆円を「人づくり革命に費やす」と宣言した。メディアはこれを「消費税使途変更」などと報じているが、本質を完全に見誤っている。この宣言は、2度にわたって増税を延期してきた総理大臣が「今度は必ず消費増税を断行する」と国民に通告したことを意味するのだ。
この増税宣言こそ、国民にとっての「国難」そのものである。2014年4月に消費税を5%から8%に引き上げた際、年収300万円未満の世帯は5万7529円の負担増となった(みずほ総研試算)。今回も同様だ。
「一般的な家庭の消費は年間300万円ほど。2%のアップで年約6万円の負担増になります。高所得者ほど高い税率を課される所得税などと違い、消費税は逆進性がある。最低限の支出は誰しも必要だから、同じ税率を課されると低所得者ほど実害が大きく生活苦に陥りやすくなる」(経済評論家の荻原博子氏)