中国人の「爆買い」が話題になったが彼らはすでに日本の不動産にも積極的に出し始めている。外国人による日本国内の不動産投資状況を、不動産の市況調査を手がける東京カンテイ市場調査部の井出武・上席主任研究員が解説する。
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不動産市場では、昨年からの円安も追い風に、外国人による旺盛な買いの動きが続いている。海外の投資家や富裕層にとって、日本の不動産はまだ割安で、投資先として魅力があるという。特にシンガポール、台湾、中国などアジアの投資家による購入が目立つ。
旧正月にあたる2月の「春節」の際、中国人の富裕層による「爆買い」が話題になったが、この時期に彼らは日本で不動産も積極的に買い求めていたと聞く。
しかし、海外の投資家が闇雲に不動産を買いあさっているかというと、そうではない。外国人投資家は、賃料を高く設定でき、空室リスクが低い物件を狙っている。となると、都心の一等地、大都市の中心部、人が集まる住環境がよい地域に絞られる。
海外勢は、商業地では銀座、住宅地では麻布、赤坂、青山の「3A(スリーエー)」地区など、誰もが知っている都心のブランド地区を中心に物色しており、これらの地区では物件の価格も上昇している。このようなインバウンド(訪日外国人)の不動産投資は今後も続くだろう。
都心では物件が高価格帯で推移しているため、一般的なサラリーマンには手が出しにくい状況になっている。人気の高い東京の湾岸エリアで今最も熱いのは中央区勝どき地区だが、少し前まで250万円~280万円程度だった坪単価が上昇し、300万円を超える物件も一部で出てきている。同地区では3000戸規模のマンション開発計画も進められており、中央区では今後も供給増と価格の上昇が見込まれる。
首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)全体でみると、2014年の新築マンション分譲戸数は、前年比24.7%減の5万2455戸だった。同年の首都圏の一戸平均価格は4653万円(前年比1.6%増)に上昇し、2008年のミニバブル期の水準に接近している。これは都心部で高額物件が供給された影響が大きいと考えられる。
※マネーポスト2015年夏号