富岡八幡宮の凄惨な事件であらためて注目を集めているのが、神社にまつわるおカネについてだ。富岡八幡宮は全国でも有数の財力を誇る神社であり、不動産収入だけで年間数十億円、賽銭や寄付を合わせると総額は見当もつかない。そのトップにもなれば、放蕩の限りを尽くしても使い切れないほどの金額が手に入るともいわれている。
そもそも、神社のトップである宮司とは、一般企業でいう社長のこと。部長や係長といった管理職が「禰宜(ねぎ)」。平社員は「権禰宜(ごんねぎ」」と呼ばれる。規模の大きい神社では、社長を補佐する役員に当たる「権宮司」が置かれる場合もある。
「宮司から権禰宜までをまとめて『神職』と呼びます。よく、『神主』という呼び方を耳にしますが、神主は“祈祷などを執り行う人”の意味で、宮司=神主ではありません。宮司も、禰宜も、祈祷を行うときには神主になるわけです」(現役神職)
現在、日本には大小合わせて約11万の神社がある。そのうち、神社を管理・指導する『神社本庁』の被包括神社は約8万社だ。宗教学者の島田裕巳氏が解説する。
「傘下にある神社は、神社本庁に上納金を納める必要があります。さらに『別表神社』と呼ばれる規模の大きい神社では、宮司の任命など人事にまで影響力を持ちます。そもそも戦後の神社は神社本庁に包括されるのが原則でした」