全国でトラブルに巻き込まれているお寺や宗派は少なくない。例えば、弘法大師・空海が開いたことで知られる和歌山県の高野山金剛峯寺を総本山とする高野山真言宗。2013年2月、その教団トップの宗務総長の不信任案が可決される“お家騒動”が発生している。原因は資産運用の失敗だった。
「宗務総長らはお布施や賽銭など非課税の浄財を含む約30億円を投資し、リーマン・ショックが直撃した2007~2011年にかけて15億3000万円もの含み損を抱えてしまった。しかもその事実を隠していたとして、2016年、当時の内局(宗団の執行機関)が地裁に提訴。いまだ係争中です」(全国紙記者)
僧侶に残業代を未払い
京都にある真宗大谷派の本山・東本願寺は、2017年4月、寺内でサービス残業が横行していたことが報じられた。
「残業代が支払われなかったとして、2015年冬に非正規雇用の僧侶2人が外部の労働組合と共に団体交渉を始めました。その額は700万円ほど。交渉は難航しましたが、労働組合が労働基準監督署に伝えると通告すると、東本願寺はあっさり残業代の支払いに応じました。残業はひどい時は月130時間を超えたそうです」(地元紙記者)
雑誌『宗教問題』編集長の小川寛大さんが、寺社の体質をこう説明する。
「神社やお寺は、なかなか外部の人が入らない閉鎖社会。しかも、早朝に起きて厳しい修行をするなど、軍隊みたいな組織です。そのため、先輩に“ノー”と言えない権力構造が生まれ、残業代の未払いやパワハラはよく聞きます」