いまや、60歳で定年を迎えてなお、“現役世代”として扱われるようになった。60代の進む道は、同じ会社での「再雇用」か別の職場への「再就職」に大別される。
「2013年から、60歳の定年後も希望者全員を65歳まで雇用することが法的に義務づけられ、現在は中小企業でも8割以上が定年後の60代を再雇用しています」(社会保険労務士の稲毛由佳氏)
一般に再雇用の場合、大手企業は給料が現役時代の6~7割まで下がるが、人材不足に苦しむ中小企業は現役水準、もしくは8割以上での再雇用も珍しくない。
ただし、給与が増えると年金額が減る(在職老齢年金の支給停止=*注)ため、労働時間を削減して給与を減らし、年金水準を維持しようとする再雇用者も多い。それでもなお、再雇用には「厚生年金加入」という大きなメリットがある。
【*注/収入が28万円(65歳未満の場合)を超えると、年金が減額される仕組み】
「60歳以上で厚生年金に入ると加入期間が長くなり、65歳から受け取れる厚生年金の額が増えます。また会社勤めだと妻が第3号被保険者のままなので、妻の国民年金保険料が不要です。さらに企業の健康保険組合に加入できれば病気やケガで仕事を休んだ時に傷病手当金が受けられる。たとえ給料がよくても、厚生年金や社会保険に入れないバイトでは、そうした恩恵は受けられない」(稲毛氏)