企業概要
化学業界のコア企業として、ロックオンしておきたい企業です。
米塩ビ事業、半導体シリコン事業の想定以上の収益拡大、電子・機能材料の伸長等から大幅増収が見込まれ、2007年以来の過去最高営業益更新も視野に入ってきました。
市場環境は非常に良好で追い風が吹いている状況です。同社の事業ポートフォリオは複数の事業でバランスよく構成されていますが、全てのセグメントが第4次産業革命による需要増に支えられる形で需要増に押し上げられる形で成長しています。
注目ポイント
注目は、米シンテック社の塩ビ事業の強化による競争力強化と収益拡大、そして半導体ウェハの増産効果と価格上昇効果による収益拡大フェーズが明らかに確認できることです。
半導体はスマホや産業機器、自動車など様々な分野で需要が拡大していますが、その基となるウェハで世界トップシェアを誇る同社がさらなる生産力増強をしています。同じく世界トップシェアの塩化ビニール樹脂についても増設にとどまらず、エチレンから作る一貫体制を整え競争力を強化しようとしています。
同社は手元資金が十分あるので、機動的な設備投資が可能なのです。盤石な財務基盤が武器に、新たな高みを目指すことができる筋肉質な経営体質をキープしているといえます。来年にはキャッシュは1兆円に上ると見られ、増配や自社株買いなど株主還元の拡大にも期待したいところではありますが、世界的な好景気を迎えた今、設備投資が意味をなす絶好のチャンスであることから、あらたな投資やM&Aにも期待したいと思います。
事業環境や将来性の高さを考えると、PER倍は割安と思います。
化学株は、原油・資源価格の上昇によるコスト上昇が嫌気され、株価が上がりにくくなっているかと思います。しかし!これを逆手に取ってください。
仮に、細い需要の中で原料価格が上昇するとすれば、それは販売価格への転嫁が許容されにくく、需要がさらに細る要因となります。ところが、いまの状況を考えてみてください。今、世界ではIoTの本格到来や電気自動車へのシフト、自動運転技術の進化、産業ロボットの発達など、あらゆる分野で「新たな需要」が生まれています。それも金融政策に支えられるなかでです。
つまり、価格上昇は、強い需要の中で起こってる「ディマンドプルインフレ」ということです。これが大切なポイント。日銀が目指すのはまさに、この需要が生み出すインフレです。このディマンドプルインフレは、最終的にはコストが上昇しても、販売価格に転嫁することができるため、収益が拡大し、結果的に株価も上がっていきます。
材料である半導体ウェハひっ迫状況を見ると、いかに需要が大きいか、景気が良くなっているかがわかると思います。
【PROFILE】戸松信博(とまつ・のぶひろ)1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。『日本人が知らなかった海外投資 米国株』他、著書多数。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。