ネット通販やフリマアプリの利用で、毎日のように段ボール箱が届く、という家庭もあるのでは。そんな中、文具メーカーのコクヨが発売した、箱を開ける際に活躍するハサミが、飛ぶように売れているという。誕生のヒントは“ちょっとした不便のあるある”にあったという、その開発秘話に迫る。
テープでしっかり封をされた段ボール箱を開ける際、カッターだと中身まで切ってしまいそう、とハサミを使って開梱した経験はないだろうか。やりがちなのが、刃を180度開いてカッター代わりにする方法。だが、この方法、テープの種類によっては、なかなか切れず、つい力が入り、刃を握るように持ってしまいあわや大惨事…!といった危険もある。
ハサミで安全かつ簡単に段ボール箱を開けるにはどうすればいいか? コクヨの『ハコアケ』は、そんな観点から2015年に開発をスタートした。
『ハコアケ』はハサミだが、手元のスイッチをスライドさせた状態でハンドルを握ると、閉じた刃先の下側から最大1mmだけ「刃」が出てきて、カッターのように使える「ハコアケモード」を搭載している。開梱から、中身のビニール袋の開封やタグ切りまで、これまでカッターとハサミの2本が必要だった作業を、1本でスムーズにできるのだ。
ハンドルを離せば、自動的に刃が隠れて「ハサミモード」に戻るなど、安全性にもかなりこだわっている。しかし、実は開発当初の『ハコアケ』は「刃が出たままの状態をスイッチ一つで固定できる商品」として構想されており、1年間の試行錯誤を経て完成した試作品には、自動的に刃が隠れる機構は搭載されていなかったそうだ。