いよいよ米国の金利引き上げが実施される段階に入ってきたが、はたして日本株への影響はどうか。また、そうした状況下で投資するなら、どのような銘柄がよいのだろうか。カブ知恵代表・藤井英敏氏が解説する。
世界中が注目してきた米国の利上げの時期がいよいよ近づいている。利上げの重石となってきた中国不安は当局が利下げや預金準備率の引き下げなどの対策を講じるほか、ECB(欧州中央銀行)もさらなる追加緩和に踏み切る姿勢を表明している。
そして利上げは、中期的には日本株にとってプラス材料となるのは間違いないだろう。米ドルの金利上昇で1ドル=125円前後まで円安が進み、輸出関連企業の業績向上期待から日経平均株価も上値を更新してくる展開が予想される。
もちろん利上げによって新興国からマネーが引き揚げられる「利上げショック」も懸念される。そのため、日経平均も一時調整し、1万7500円付近まで下がるかもしれない。
ただし、2016年初めの通常国会ではTPP(環太平洋経済連携協定)対策もあって大型補正予算が打たれることが確実視され、日銀のさらなる追加金融緩和「黒田バズーカ第3弾」が放たれる可能性もある。
米利上げ、黒田バズーカを受けて円安が加速することで、「世界の景気敏感株」といわれる日本株が反発するという流れになるだろう。そうはいっても、上値は限定的で、2万2000円といったところではないか。2016年の日経平均は下値1万7500円~上値2万2000円のレンジで推移するというのが私の見方である。
日経平均はこれまでの3年間で8000円から2万1000円近くまで駆け上がったこともあり、ここからのボラティリティ(変動率)はどうしても小さくなる。指数全体の大幅な上昇が望めない以上、より大きなリターンを目指すのであれば、やはり時価総額が比較的小さくボラティリティの高い小型株で勝負したいところだ。
なかでも株価の大幅な上昇を狙うためには、将来有望な「自動運転」や「ドローン(無人飛行機)」、「TPP」関連、そしてインフラの更新需要などが見込める「建設」関連といった注目テーマを持つ銘柄が狙い目となるだろう。
※マネーポスト2016年新春号