政府はこの2月に「生涯働ける社会」の構築をめざす高齢社会対策大綱を閣議決定した。これまでの65歳以上を一律に高齢者と捉える考え方を見直し、年齢にかかわらず柔軟に働ける環境の整備を打ち出している。
生涯働けると言えば聞こえはいいが、真の狙いは高齢者を死ぬまで馬車馬のように働かせ、年金をカットしつつ、税金を取り立てることにある。
その証拠に、厚生労働省の働き方改革の資料には60代の高齢者が“希望する”月収は「10万円未満」が過半数を占めるという数字が強調されている。高齢者は働きたいのだから、安くこき使おうじゃないかというのだ。そうすれば年金を減らすことができ、税収も増える。
しかし、そもそも国が年金支給を遅らせ、高齢者は働かなければ収入ゼロで生きていけない状況に追い込まれたから、やりがいと生きがいを捨てても目先の生活費を稼がなくてはならなくなったのではないか。
年金だけで安定した老後の生活ができるなら、好んで定年後も低賃金のブラック労働などに従事する必要はないのだ。
※週刊ポスト2018年3月16日号