選択次第で“損得”どちらにも転ぶのが葬式だ。最近では家族や親族を中心とした家族葬、納棺と出棺だけして荼毘に付す火葬のみの直葬がブームだが、思わぬ“落とし穴”もある。エンディングコンサルタントで「日本エンディングサポート協会」理事長の佐々木悦子氏が指摘する。
「安く済ませるために家族葬を選ぶ人は多いですが、香典収入が入らない分、実は一般の葬式より安くならないケースもあります。
家族葬の費用は30人程度の規模であっても100万~150万円程度はかかってしまう。一般の葬式の相場は200万~300万円ですが、香典収入で5~6割は賄われるため、結果的一般葬も家族葬も費用が変わらないことがある」
また親が葬儀費用は自分で出すと決めているなら、生前に喪主となる家族の口座に振り込んでおくか、現金で手渡しておくのが賢明だという。
「死亡すると口座は凍結され、引き出すには故人の戸籍謄本や法定相続人すべての印鑑証明などを銀行に提出する必要があり、最短でも1週間程度の時間がかかります。先に振り込む際は生前贈与の形で非課税扱いになる年間110万円以下にとどめるといいでしょう」(同前)
親子で後悔しない選択を導き出すことが必要だ。
※週刊ポスト2018年3月23・30日号