売り上げ好調の100円ショップ。消費者は、ただ「お得」と飛びつくのではなく、何を100円ショップで買い、何をデパートやスーパーで買うか、品物を目で見て、手で触れて「これなら買おう」と賢くジャッジするようになった。
何をどこで買うべきかの“目利き力”とともに100円ショップが消費者にもたらしたのは、未知のものを買う楽しさだった。50代の主婦が言う。
「ダイソーに売っていた、コンロにこびりついた油汚れを落としてくれる『油よごれクリーナー』なんて、名前を聞いただけで試したくなっちゃう。コスメも、『1回くらい青いマニキュアを塗ってみたいな』と思ったら100円で買えるし、合わなくても『100円だから』で済む。気に入ればまた買えばいいし、試して損はない」
100ショップにおける“未知との遭遇”は自分の世界を少しだけ広げてくれる。
「店に入った瞬間からね、見たことないようなかわいいものがいっぱいあるでしょう。まるで遊園地ですよ」
瞳を輝かせて語るのは、歌手の八代亜紀(67才)。演歌界の重鎮は、意外にも100円ショップが大好きなのだ。
八代が初めて100円ショップを訪れたのは7年前、テレビ番組の企画だった。絵を描くことが趣味の八代は文房具コーナーで色とりどりのお絵描き道具を見つけて童心に帰りつつ、商品のあまりの安さと品ぞろえに驚いた。
「お風呂道具とかガーデニング道具とかお茶碗とか、“これが100円なの?”と信じられないものばかり。思わず店の人に“100円で本当に大丈夫なの? やっていけるの?”と聞きました。“大丈夫なんです”と言われたから、“じゃあ買っていくね”って(笑い)」(八代)