日本のがん保険の“定説”が変わりつつある。50歳以上の加入者が増えているのだ。2005年に28.3%だった50代の加入者は2017年に42.6%に達した。
厚労省の調査では、がん患者の自己負担額は高額療養費制度を利用した上で年間平均101万円に達する。ファイナンシャルプランナーの内藤眞弓氏は、この金額を“加入するか、しないか”の判断材料に位置づける。
「がん保険の最大のメリットは、がんと診断された時点で『診断給付金』として一時金100万円などのまとまったお金が支払われることです。計算上は一気にその負担を賄うことができます。しかもがんが再発した場合でも一時金は改めて受け取れるタイプの保険もある。
さらに、がん保険に加入すると平均的なプランの場合でも一時金に加え、入院・通院費用として1日5000~1万円が給付され、治療が長期化した場合の負担増に対応できるようになっています」
とはいえ、「がん保険に入っていれば安心」ということにはならない。保険料はがん発症リスクが高まるほど高く設定されるため、治療費と保険料負担の“収支”を見極める必要がある。
ある大手保険会社のがん保険を見ると、一時金100万円、入院給付日額1万円のプランの場合、30歳で加入すれば3000円程度の月額保険料が、50歳だと7000円程度と倍以上に跳ね上がる。これが60歳だと1万2000円、70歳だと1万7000円と、入る時期が遅ければ遅いほど、急激に保険料が上がっていく仕組みだ。
保険商品である以上、高リスク加入者ほど保険料が高くなるのは仕方のないところだが、月々1万円を超える掛け捨て保険料は“虎の子の貯蓄をドブに捨てている”ように感じてしまう。