人生100年時代を迎える中、65歳以降も働く選択肢がある。もちろん、働く期間が長くなっても、“リタイア後”はいずれ訪れる。そうした時に考えなくてはならないのが「介護」のお金だ。
自分や、妻が要介護者となった時に金銭面の負担を減らせる可能性があるのが“世帯分離”だ。
「自分が要介護となり、息子夫婦などと同居する場合、自分と子供を2つの世帯に分けて住民票登録するのが『世帯分離』です」(社会保険労務士の稲毛由佳氏)
世帯分離の最大のメリットは介護サービスの自己負担が軽減されることだ。現制度は要介護度別に利用限度額が決まって1割の自己負担が原則だが、世帯所得に応じて4段階の負担軽減がある。
「このため介護サービスを受ける本人の世帯を分離して世帯所得を少なくすれば、負担額を大きく減らせます。例えば本人と同居する家族に住民税が課税される程度の収入があれば介護サービスの限度額は月4万4400円ですが、世帯収入が本人の国民年金のみ(年間78万円)の場合は限度額が月1万5000円まで軽減されます」(同前)
世帯分離を希望する場合は各市区町村役場で「世帯分離届」などを提出する。
※週刊ポスト2018年5月4・11日号