この国の社会には、生まれ年が1年違うだけで「得する世代」と「損する世代」に明暗が分かれる世代間の断層がいくつもある。
バブル期の好景気に酔いしれ、学生生活を謳歌したバブル世代の就職は、究極の売り手市場だった。実際、1991年に大学を卒業した男女の就職率は81.3%の高率をマーク。しかし、入社後の彼らを待っていたのは茨の道だ。1966年生まれの有名企業社員がため息をつく。
「学生時代にかなり遊んでいた大学の同級生も難なく大手企業に就職していました。ただし同期のほとんどが年次を経るにつれて社内の立場が微妙になった。幹部社員になった団塊の世代と、一回り年下の就職氷河期を勝ち抜いた優秀な後輩たちに挟まれ、両方から“お荷物社員”と呼ばれて肩身の狭い思いをしています」
バブルの勢いさながら有名企業に潜り込んだが、高給を甘受できたのは入社から10年までだ。人材コンサルタントの城繁幸氏が指摘する。
「勤続者の賃金カーブを見ると、バブル世代は35歳まで急角度で上昇するものの、以降は頭打ちになっています。ひとつ前の新人類世代が50歳ぐらいまでなだらかに上昇するのとは対照的な動きです。ちょうど20年ほど前に日本の経済成長が完全に終焉したことが主因で、バブル世代の35歳以降は出世しないと給料が上がらなくなりました」
35歳で最後の泡が弾けて消えるバブル世代。しかもその後、出世するのはかなりの狭き門である。
「バブル世代は例年の2倍以上が採用されたので人員過剰で管理職のポストにつけず、50歳を過ぎて平社員というケースも多い。しかも最近は実力主義で年下の管理職も増え、ますますバブル世代が扱いづらい対象になっています。本人にやる気のないケースも目立ち、ここ10年ほどは多くの企業でバブル世代がリストラ対象になっています」(城氏)