日本社会には、生まれ年が1年違うだけで「得する世代」と「損する世代」に明暗が分かれる世代間の断層がいくつもある。
世代間の違いが如実に現われるのが「結婚」である。結婚適齢期である30~34歳時点での有配偶率(結婚率)を見ると、現在60歳以上は7割を超える。バブル世代である現在50~54歳も6割の高率をキープする。
ところがバブル世代よりひとつ下である団塊ジュニア世代の結婚率は6割を割り込み、それより下の世代は5割程度となる。
団塊ジュニア世代以降が結婚を望んでいないわけではない。国立社会保障・人口問題研究所が18~34歳の独身男女を対象にして5年ごとに行なう調査では、男女とも1987年から2015年まで7回連続して「いずれ結婚するつもり」が85~90%以上の圧倒的多数を占めた。なかでもボリュームが大きい団塊ジュニア世代の未婚問題は、そのまま日本社会の少子化につながる。
なぜ、彼らは結婚を望むのに、前の世代までは当たり前だった結婚ができないのだろうか。最大の理由は「結婚資金」にある。上記の調査で、結婚意思のある未婚者に、「一年以内に結婚するとしたら何か障害となることがあるか」と尋ねると、男女とも「結婚資金」がトップだった。人材コンサルタントの城繁幸氏は、「団塊ジュニア世代は最初から給料が低い」と指摘する。
「勤続者の賃金カーブを見ると、バブル世代は35歳までは急角度で賃金が上がったのに対し、団塊ジュニア世代は最初のベースこそバブル世代を上回ったものの、その後の賃金の伸びが圧倒的に少なく、バブル世代以上に頭打ちが早い。これも1990年代に日本経済の成長が止まったことの表われです」