企業概要
IT業界の風雲児と呼ばれる孫正義氏が率いる持ち株会社です。
携帯電話やヤフーでなじみ深いですが、1981年の創業以来、ソフトウェア卸業から始め、数多くのM&Aを行いながら成長を遂げてきた企業です。
Yahoo!bbを始めた10年前赤字経営だった企業が、17/3期には営業利益・純利益ともに1兆円を突破。足元でも国内通信事業の安定した推移やスプリントの業績成長、そしてARMの業績寄与という着実な業績改善が確認されています。
18/3期の決算内容には特にサプライズはありませんでしたが、一方で特に注目の的となったのが、スプリントとT-Mobileの合併、国内通信事業ソフトバンク(KKと呼ぶ)のスピンオフ発表でした。
注目ポイント
同社は事業ドメインを、通信事業から戦略的持ち株会社に転換することを改めて宣言し、300年成長し続ける企業集団とする「群戦略」という考えの下、世界中の優れた企業に投資することで、グループ全体でシナジーを生み出しながら長期間にわたる成長を実現したいとしています。そういう点で、スプリントとT-Mobileの合併は5G時代の到来に向けた競争力強化の動きであり、5GがIoT時代の本格到来を支えること、同社がIoTに関連する企業を買収したり投資したりしていること、そして国内通信事業が独立的な経営をすることでこれら企業とのシナジーを生み出しやすくすること、と一連の動向が全てIoT時代を見据えたものととらえることができます。
★投資先動向より株価の上昇余地を探る
投資会社としての性格が強くなってきたことからソフトバンクビジョンファンドが、一層注目されることになりそうです。
配車企業(Uber、Didi、Grab、Ola)の配車数、取扱総額、売上は急拡大しており、これら企業が上場することになれば更なる株価の上昇を生み出すことになります。
過去、2014/9月にアリババが上場しましたが、ソフトバンク株はこれを織り込んで2012/10→2014/9月の間に260%も上昇しました。同期間のTOPIX上昇率が82%だったことから見ても凄まじい上昇力でした。
アリババの業績は期待を上回る状況が続いており、IPOの68ドル(終値90ドル)から今や過去最高(206ドル)に迫る197ドル(5/22)となっています。一方、ソフトバンク株は8456円と当時の8700円を切る状況です。
当時は期待感で上げていたところが大きかったと見られますが、現在、業績の改善と事業の拡大基調が確認されつつあるなかで、株価水準には上昇余地があると思います。
【PROFILE】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。『日本人が知らなかった海外投資 米国株』他、著書多数。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。