金融相場から業績相場へとシフトし、世界の株式市場は米国株が牽引する形で上昇基調に乗っているように見えるが、そうしたなかで、経済のセオリーと反するかのような「不気味なサイン」も出ているという。それらは「10年前の悪夢」――世界経済に冷や水を浴びせ、日本市場も暴落させたリーマンショックの直前に起きたことと符合するというのだ。
【1】GDP成長を極端に上回る株高
投資家が参考にする経済指標に「バフェット指数」というものがある。その名の通り、“投資の神様”と呼ばれるウォーレン・バフェット氏が着目しているとされる指標で、「実体経済と株価の連動性」を示す数値である。マーケットバンク代表の岡山憲史氏が解説する。
「当該国の株式市場全体の時価総額と名目GDP(国内総生産)の比較によって、株価が割高か割安かを判断する指標で、『時価総額÷名目GDP』で算出されます。基本的に株価は経済成長と比例することを前提としており、1を上回ると割高、下回ると割安と判断されます」
米国ではバフェット指数が1.4を超える高水準にあり、日本でも1.2を超えている(5月23日現在)。岡山氏が続ける。
「リーマンショックの前年から米国のバフェット指数は1を超え、暴落するまで上昇傾向が続きました。現在の日本も2016年後半から1を上回る状況が1年以上継続しています。ここまで続くと“投資が活発”の域を超え、“実体経済と乖離した過熱感が高まり、暴落の懸念が増している”と見ることができます」
投資の神様の指標が発する警告だけに、杞憂と片付けるわけにはいかないかもしれない。