株主優待を実施する企業は数あるが、中でもトップクラスの人気を誇るのが「ガスト」「ジョナサン」などの多くの飲食店ブランドを展開する「すかいらーく」だ。同社の株主優待では、系列飲食店で使える食事券がもらえるが、NISA(少額投資非課税制度)口座の人気銘柄を毎週公表しているSBI証券の保有残高ランキングでもすかいらーく株はトップ3の常連。優待銘柄の中ではナンバーワンの人気を誇っている。
そのすかいらーくが、5月の第1四半期決算発表と合わせて優待変更のIRを発表した。この発表で、「すわ改悪か」と肝を冷やした株主も多かったのではないだろうか。というのも、同社は2017年に店舗で使える食事券の株主優待額をいきなり3倍にするという驚きの「太っ腹拡充」を発表し株主を喜ばせた反面、太っ腹すぎて持続可能性を心配する声も多く挙がっていたからだ。
しかも、この優待拡充を発表して株価が上昇したところで、当時の筆頭株主だった投資ファンドのベインキャピタルがすかいらーく株の売却を始めたことから、株主の心配はいっそう募ったようだ。同社の優待に惹かれて投資したという個人投資家は当時をこう振り返る。
「大株主に高値で売り抜けさせるために一時的に拡充しただけではないかと、保有しているのが怖くなりました。筆頭株主が売り出して需給が悪化したところに、優待額を減らすような改悪が発表されれば、優待の魅力が薄れるばかりか株価も急落することは目に見えていましたからね」