企業概要
1997年設立のFPD(フラットパネルディスプレー)製造装置メーカーで、FPDを生産するために必要となる、カラーフィルタ露光装置や、モジュール検査装置などの開発、設計、製造(外部委託)販売を行っています。
設立後検査装置分野で市場ポジションを確立し、自身が持つ検査装置技術とのシナジー効果が期待できるM&Aや事業提携により事業基盤を強化してきました。たとえば、カラーフィルタ露光装置でトップシェアを誇るVNシステムズの子会社化によって、FPD製造装置市場に本格参入を果たし、FPDの電気検査で高シェアを誇るオー・エイチ・ティーを子会社したことで、検査関連事業を強化してきました。
注目ポイント
同社が属するFPD業界では、液晶から有機ELへ、画面サイズはフルスクリーンへ、そしてフレキシブル基板へとディスプレイの高付加価値化が日進月歩で進んでいます。特に有機ELディスプレイ(OLED)へのシフトは、大きなテーマとなっています。有機ELパネル市場は今後5年間で4倍の規模に、スマホ向けに限っては現在サムスン独占から中国メーカーが3割程度を担うと予想されており、売上の5割を中国メーカーが構成する同社にとっては、事業環境はより良好となりそうです。また、同社は、困難とされるOLEDの量産を実現し、オペレーション向上やコストダウンにも貢献する次世代蒸着マスク技術を開発しており、有機EL関連株として注目されています。2017年にはこの次世代蒸着マスクを担う子会社を設立しており、今後の成長ドライバーとして注目されます。
有機EL関連以外でもテレビの4K化や大型化などを背景としたパネルメーカーの旺盛な設備投資需要を追い風に、足元の業績は過去最高を更新。受注高も最高額を更新しており、19/3期も引き続き好業績が見込まれています。
一方、株価は下落基調となっていますが、これは業績と見通しに関係のない一時的な調整と思われます。3月には前期売上の4割に及ぶ大口受注を発表するなど上昇基調を保っていたものの、その後利益確定売りに、材料出尽くしの手じまいなどが出たと見られます。ただ、足元の受注状況や事業環境、市場成長性と同社のFPD業界でのポジションを考えると、下がっているところでは、買いでいいと思います。指標的にも割高感はありませんし、市場全体がリスクオンとなれば、買い戻しも期待できるかと思います。
【PROFILE】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。『日本人が知らなかった海外投資 米国株』他、著書多数。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。