経団連会員企業で面接などの選考活動が解禁された6月1日時点で、2019年3月卒業予定の大学生のうち69.0%が内定していたことが、就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリアの調査で判明した。そしてすでに2020年3月卒業予定の大学生が夏休みのインターンシップに向けて動き出すなど、実質的に翌年の就活がスタートしている。就活のルールが形骸化しているのだ。『学歴フィルター』(小学館新書)を上梓した就職コンサルタント・福島直樹氏は、この事態は当初から予測されていたと解説する。
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2013年、安倍政権は就職活動の開始時期を後ろ倒しする閣議決定を行い、経済界への要請がきっかけとなって「採用選考に関する指針」が経団連などから発表された。これにともなって、2016年3月卒の学生(就活は2015年)からスケジュールの後ろ倒しが実施された。
会社説明会解禁(就職ナビオープン)がそれまでの大学3年生の12月1日から3月1日へ、採用面接解禁(実質的な内定出し開始)が大学4年生の4月1日から8月1日へそれぞれ3~4か月遅くなった。
背景には、「就活が長期化し企業も学生も疲弊している。就活が学生の学業、研究、留学に悪い影響を与えている」という問題意識があった。
さらにその翌年(2017年3月卒の学生。就活は2016年)からは、企業の要請で採用面接解禁(実質的な内定出し開始)が大学4年生の6月1日へ繰り上がった。これにより就活期間はこの数十年で最短の実質3か月となってしまった。
また求人倍率の高まりから、多くの企業は人材確保に不安を感じ、大学3年生の夏からのインターンシップに力を入れることになった。