ネタの面白さやトーク力のほかに、お笑い芸人やタレントが売れるための一つの手段となる特技や資格。例えば、掃除テクニックで注目を集めた家事えもんことピン芸人の松橋周太呂や、手相占いで知られる元お笑いコンビ・号泣の島田秀平、引っ越しが巧みすぎて株式会社を立ち上げるほどとなったピン芸人のたかくら引越センターなど、特技を持つことで仕事が増え、知名度を上げた芸人は多数存在する。
そこまでの認知度はなくても、特技があることで仕事量がぐんとアップした芸人は少なくない。「営業の量が50倍増えて、事務所のギャラは30倍になりました」と話すのは、コント芸人として10年活動した後、バルーンアートの世界に飛び込み、現在はバルーンアート芸人歴5年になる芸人のUさん(30代、女性)。
なぜそこまで仕事が増えたのか。Uさんは次のように分析している。
「単純に普通の漫才師やコント芸人よりも、やっている人の数が少ないことが一つ。あとは、発注者が私のネタを見たことがなかったとしても、バルーンアートという完成物があれば、何をするのかが想像しやすい。子供から老人まで、幅広い層のお客さんが来店する家電量販店やドラッグストアの店頭、ショッピングセンターのイベント会場などに呼ばれることが多いです」(Uさん「」以下同)
さらに、芸事以外の仕事のオファーが来ることも。
「イベント会場の装飾、飾りつけをほかのバルーン芸人と数名で頼まれることもあります。一つの会場の装飾を4~5人で請け負って、ギャラは1人2万~5万円です」
とはいえ、まだバルーンアートだけで生活をするのは難しいというのが現状。今後、芸人として食べていくための目標は「技術の向上とバルーンショーのレベルアップです。もともと漫談やコントをしていた過去もあるので、バルーンとお笑いネタとのコラボで唯一無二の存在になりたい」とのことだ。芸人の世界では、それぞれが独自の工夫を凝らしながら、生き残りをはかっている。がんばれ!