企業概要
ソーダ灰、苛性ソーダなどに用いられる基礎化学製品、多結晶シリコンを始めとする半導体関連製品、セメントのほか、メガネ関連材料やジェネリック医薬品原薬など幅広い分野で事業展開する総合化学メーカーです。創業来の事業展開で培った多様な技術により、多種多様な先端製品を生み出すことができる生産体制を持っており、大半の製品を作る徳山工場は、多結晶シリコンで国内トップ、セメントで国内4位、また放熱材で世界最大の生産能力を有すなど、同社の強みとなっています。
注目ポイント
業績は、セメントをはじめとする主力製品を中心に総じて販売が堅調に推移したほか、苛性ソーダや石油化学製品の販売価格の是正などもあり、増収を確保。利益面では石炭・ナフサなどの原燃料コストが増加したものの、苛性ソーダ、半導体用多結晶シリコン等の販売数量増や、石化製品などの価格是正でカバーしたほか、徳山製造所のコストダウンも寄与し、過去最高営業益を更新しました。19/3期も引き続き出荷増と価格是正、コストダウンの寄与が期待されるほか、不振のマレーシア事業の撤退に係る損失処理で生じた税務上の欠損金が将来の税金費用を軽減する効果も発生しています。
既存事業の収益力が強いだけに、マイナス要因となってきた事業整理の完了は実にポジティブで、今後も純資産の回復や自己資本の増強など財務改善が進むことが期待できると思います。18/3期には、優先株の買入消却を実施しながらも復配や借入金の返済を進め、財務改善を進めたことは評価されています。
中期的にも見通しは明るく、微細化に対応した高純度品で競争力を有す同社の半導体用多結晶シリコンに加え、アジアで需要が拡大している電子工業用高純度薬品、そして同社が世界トップシェア70%を誇る放熱材用窒化アルミニウムは、電気自動車の放熱用途や半導体製造装置部材として需要増が見込まれています。採算性の良い特殊品事業において新たな収益柱が成長することが期待できる状況となってきています。
株価は足元で調整しており、株価水準から見ても割安であることから、買い場と見ていいと思います。
【PROFILE】戸松信博(とまつ・のぶひろ):1973年生まれ。グローバルリンクアドバイザーズ代表。鋭い市場分析と自ら現地訪問を頻繁に繰り返す銘柄分析スタイルが口コミで広がり、メルマガ購読者数は3万人以上に達する。『日本人が知らなかった海外投資 米国株』他、著書多数。最新の注目銘柄、相場見通しはメルマガ「日本株通信」にて配信中。