アジアの金融センターと言われ、世界中から富裕層が集まっているシンガポール。それだけに、リッチママたちの食事事情も想像以上のようだ。『シンガポールで見た日本の未来理想図』(講談社+α新書)の著者で、当地に住むファイナンシャル・プランナーの花輪陽子氏がシンガポールセレブの生態を報告する。
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日本でも東京の中心部などを中心に、女性同士のマウンティングが繰り広げられているといいます。白河桃子・著『格付けしあう女たち』によると、“8000円のランチに行けるか、行けないかで「ママカースト」が決まる!?”そうです。
しかし、私が住むシンガポールでの富裕層の食事は、東京の上をいくものがあります。“上には上”の高いモノやサービスが用意されているので非常に厄介なのです。
とあるセレブリティシェフプロデュースのフレンチレストランに、ランチに誘われた時のこと。コースが1万6000円程度、お酒がシャンパンだとグラスで5000円程度(カートで持ってきて値段は聞かなければ言わない)など、とにかく目玉が飛び出すような値段なのです。
友達の送別会ということで特別な日ではあり、ゆっくり8皿も出てきたので4時間程度楽しんだのですが、お会計はなんと1人3万5000円(!)でした。自分のカードで払いましたが、みんな専業主婦なのにすごいなぁと感じました。
そもそも、なぜ、ランチで3万5000円もかかることがあるのでしょうか。シンガポールのサービスは日本以上にマーケティングが細分化されており、支払う価格に応じて受けられるサービスが小刻みに異なるのが一般的なのです。代表的なのは銀行のサービスで、商業施設のメンバー、レストランなども4~5段階に分かれています。
例えば、レストランは米国のように、「1.ファーストフード」、「2.ファーストカジュアル」、「3.カジュアルレストラン」、「4.アッパーカジュアル(呼び名が変わる場合も)」、「5.ファインダイニング」などに分類されてマーケティングされており、客単価はもちろん後にいくほど高くなり、サービスや手間暇も多くなります。「5.ファインダイニング」の中でもセレブリティシェフプロデュースのレストランは特に金額が高いのです。