昨今「おっさんホイホイ」的なコンテンツが世の中に溢れている。現在の人口のボリュームゾーンたる団塊ジュニア世代の嗜好に合わせたものだ。それこそ黄金期の『週刊少年ジャンプ』で連載されていた漫画のスピンオフや「その後」が、今も様々な媒体で連載されている。こうした状況を「団塊ジュニア世代の保守化」と分析するのはネットニュース編集者の中川淳一郎氏(44)だ。中川氏自身もこの「保守化」が止まらないことを実感しているという。その実態はどうなっているのか、中川氏が解説する。
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普段仕事をする時は、YouTubeで音楽を聴きながら延々YouTubeが「お前はこの音楽が好きだからこの音楽も好きだろう」といった音楽を「ミックスリスト」として流してくれています。だから、私の聴く曲はほぼ1992年、19歳の時以前の曲だらけです。Beatles、AC/DC、Heart、Bangles、Van Halen、Tom Petty、Prince、Motley Clue、Guns N’ Rosesに加え、『サタデー・ナイト・フィーバー』のサウンドトラックなど。邦楽では、『そして僕は途方に暮れる』とか『想い出がいっぱい』みたいなものばかり。
ジャスティン・ビーバーも、ビヨンセも、SEKAI NO OWARIも、安室奈美恵の最近の曲も、嵐の曲も何も聴こうという気にならない。さらには、東京ドームでのポール・マッカートニーの公演にも行ったのですが、新曲はどうでも良かった。新曲が流れたところでトイレに行く人がかなりの人数いたのを鮮明に覚えております。その気持ち、すごく理解できました。
ネットカフェ(漫画喫茶)に行く時も、手にとるのは小中学校時代に『週刊少年ジャンプ』で読んでいた作品ばかりになりますし、AbemaTVでも『キン肉マン』やら『聖闘士星矢』なんかを視聴してしまいます。最近買っている漫画にしても、『キン肉マン』『魁!男塾』『キャプテン翼』『ブラック・エンジェルズ』のような当時のジャンプ作品の「その後」を描いたものです。