老後資金の「虎の子」ともいえる退職金。もらえるお金は会社によってまちまちだが、2016年の経団連の調査によれば一般的な額としては、大卒の総合職で約2374万円、高卒の生産・現業職で約1831万円とされている。
退職金の受け取り方は一括でもらう「一時金方式」か、分割してもらう「年金方式」かに大別される。退職の半年から1年ほど前に会社から受け取り方を聞かれるケースが多い。ファイナンシャルプランナーの森田悦子さんは、「一括の方がお得」と指摘する。
「一括でも分割でも退職金を受け取る際は税金がかかりますが、一括の場合は『退職所得控除』が適用され、分割よりも非課税枠が大きくなります。例えば大卒から定年まで38年間働いた場合は、最大2060万円まで、退職金を一括でもらっても課税されません。
ただし、『退職所得控除』は勤続年数が長いほど税金が少なくなる仕組みのため、転職などで勤続年数が短い人の場合は、年金方式の方が有利なケースもあります」
また、一括で受け取る場合、一気に大金を手にすることになるため、使い方にはくれぐれも気をつけたい。『届け出だけでもらえるお金』の著者の井戸美枝さんが言う。
「退職が近づくと金融機関からさまざまな投資勧誘のアプローチがあります。知識がないのに投資信託などに貴重な退職金をつぎ込み、のちのち後悔するパターンは後を絶たない。退職金を一括で受け取っても舞い上がらず、まずは簡単にお金を下ろせない定期預金口座に預けてじっくり管理すること。定年して2年は退職金に手をつけないという気持ちで生活してください」
※女性セブン2018年8月9日号