中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

フリーランスで稼げる人は「サラリーマン文脈」を知っている

電話の作法ひとつとっても、会社員時代の経験が活きることも

 フリーランスの仕事といえば、「己の能力を正当に評価してもらいつつ、自由に、どこででも働ける仕事スタイル」といったイメージが昨今存在する。こうした働き方の満足度は高いとの調査結果も出ているが、そのスタイルで働く前段階としてサラリーマンを経験したほうがうまくいくと述べるのはフリーのネットニュース編集者の中川淳一郎氏だ。同氏がフリーランスとして働くうえでの「サラリーマン経験の良さ」について考察する。

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 私は新卒で広告代理店に入って結局4年で辞めてしまいましたが、今の自分のフリーランス生活でこの4年がいかに貴重だったかをつくづく実感しています。その理由の根幹は「サラリーマン文脈が分かる」ということにあります。サラリーマン文脈とは何かといえば、以下のようなものがあるでしょう。

・予算は決まっていて、それを増やすのは難しい
・会社でよりエライ人が下っ端が作ったものを覆したらそれは尊重すべきである。抗って元に戻ることはあまりない
・世間一般の規範や常識はさておき、社内限定のローカルルールや慣習や前例主義は強固で変えることには困難を伴う
・上司の方針とさらにその上の「部」「局」などの部署の方針、さらには役員、社長の方針こそ重要。これに抗ってもあまり意味はない
・自社よりも客の要求に従うことが重要で、よっぽどの卓越した技術力や能力がない限り、客には滅私奉公することによって仕事を継続させられる

 フリーランスとしての仕事の進め方、お金の稼ぎ方は、上記のサラリーマン文脈に従って進めればうまくいきます。バカバカしいことや、硬直的な考えがあるのは分かります。でも、そこに従うことでカネをもらうことが可能になるのです。「組織のルール」を変えることは実に困難で、そんなものを変えるよりも、とりあえずはギャラを貰うことをフリーランスは優先すべきです。こうした基本的な「文脈」があったうえで、さらには以下の厳然たる事実も存在します。

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