「ゴゴーゴゴー♪ だいなご~ん♪ あなたと共にだいなご~ん♪」。思わず口ずさみたくなるこんなBGMに乗せて、ヒロインの楡野鈴愛(永野芽郁・18才)は「100円ショップ大納言」でアルバイト──NHK連続テレビ小説『半分、青い。』で描かれていた100円ショップのセットは、店舗や企業への取材を重ね、1996年頃の店舗写真や当時のサンプルを入手し、商品を忠実に再現したものだという。たしかに店内の文房具や日用品、雑貨などのラインナップは、どれも懐かしいものばかりだ。だけど、今の100円ショップと比べるとちょっともの足りないような……。
「安ければいい」の時代を経て進化した
100円ショップ事情に詳しい、消費経済ジャーナリストの松崎のり子さんが言う。
「今や100円ショップの代名詞にもなっている『ザ・ダイソー(以下ダイソー)』が1号店を出したのは1991年。当時の日本はバブルがはじけた後で、“とにかく安く買いたい”という消費者のデフレマインドと100円ショップのコンセプトがマッチしました。現在と比べると、取り扱う商品はプラスチック製のかごや日用品など品数が少なく、デザインも二の次。それでも100円という安さは強力な武器でした」
それから四半世紀。大手スーパーのPB商品や業務用スーパーなど、世の中には安いものが溢れるようになった。「安さ」は100円ショップの“専売特許”ではなくなったのだ。
「安ければ売れた時代は終わり、100円ショップで買うことの付加価値がなければ勝ち残れなくなりました。安っぽいデザインを見直し、アイディア商品を投入するなど、各社が企業努力をはかったのです」(松崎さん)
その結果、鈴愛の働く『大納言』のような個人商店は次第に姿を消し、新商品の開発力が高く、大量生産ができる大手チェーンが成長していく。最大手『ダイソー』は現在、業界の6割を占める勢いだ。次いで2位『セリア』、3位『キャンドゥ』、4位『ワッツ』と続く。
「価格は100円で一定ですが、もちろん商品によって原価は違う。そういう意味で“コスパがいい”商品がありますし、クオリティーの高さから値段以上の価値があるものもたくさん生み出されています」(松崎さん)
では、具体的にどんな商品がお得なのか。商品の選び方をプロたちに聞いた。