長期間利用されていない、いわゆる「空き家」を所有していると、そこには維持管理費用や放置リスクが伴うことになります。
日本各地エリアで空き家が増加していることもあり、行政はこの対策の一環として「空き家対策特別措置法」を考案。今後、所有者の負担がより一層強くなることが懸念されます。
今回は、空き家の問題点を確認して”空き家対策のための売却”について考えていきましょう。
空き家を放置するリスク
空き家を放置すると、以下のようなリスクやデメリットが生じることになります。このリスクやデメリットは、放置期間が長ければ長いほど大きくなるため、できるだけ早期の対策が必要です。
●税金面のリスク
現在住んでいる戸建て住宅やマンションと同じく、使用していない空き家であっても所有しているだけで固定資産税・都市計画税の税金は発生します。
また、空き家が相続対象なら相続税の課税対象にもなります。空き家は所有しているだけで税金負担のリスクが大きくなることがわかりますね。
●維持管理面のリスク
戸建て住宅は木造であることが多く、木造は鉄筋コンクリート造に比べて劣化が早いと言われています。空き家の場合は劣化だけではなくシロアリ被害などに遭う可能性があります。
また、適切な管理が行き届いていない空き家は不法投棄の対象となるリスクが高くなりますし、庭木の越境や雑草の繁茂は近隣トラブルの原因に繋がることも考えられます。
このような不適切な維持管理は、不動産の資産価値を大きく下げる要因になります。売却や活用を検討しているのであれば、放置すればするほどかなりの損失となるでしょう。
●屋根材の剥落・飛散のリスク
一般的に木造住宅の寿命は「25年」が目安とされており、年数が経過すると共に経年劣化が進んでいきます。特に、手入れが行われずに老朽化した空き家は、屋根材などが剥落・飛散する恐れがあります。
万が一、これらが原因で通行人に怪我をさせてしまった場合は、所有者がその責任を負わなければいけません。
空き家対策特別措置法とは?
総務省統計局の2013年のデータでは、総住宅数のうち空き家の割合は13.5%と発表されており、人口の減少に伴って今後はさらに空き家の数が増加することが予想されます。
そこで、この事態を問題視した行政はH27年から「空き家対策特別措置法」を施行し、空き家に対するアプローチを開始しました。
●空き家対策特別措置法の対象
全ての空き家が「空き家対策特別措置法」に該当するわけではなく、ある”特定の状態”に当てはまる空き家が対象となります。”特定の状態”とは、国土交通省ガイドラインに示されている次のような状態のことをいいます。
・そのまま放置すれば倒壊など著しく保安上危険となるおそれのある状態
・そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
ガイドラインでは”著しく”と記載されていますが、行政が独自に判断することになるので明確な決まりがあるわけではありません。そのため、所有者の基準が適用されるわけではないことに注意です。
特定空き家に認定されるとどうなる?
住宅が建てられている土地は「固定資産税の住宅用地の特例」が適用されることにより、固定資産税の金額が6分の1あるいは3分の1まで減税されます。
しかし、空き家対策特別措置法によって特定空き家に認定されると、この特例が適用できなくなります。特例適用ありの場合の約5倍の固定資産税がかかってしまうため、維持管理費の負担が増大します。
●すぐに特定空き家に認定されるわけではない
最近では行政代執行による強制解体も増えてきていますが、いきなり特定空き家に認定されたり強制解体されるわけではありません。
放置しておくと害が発生する可能性のある空き家の所有者に対して、まず行政から適切な管理を行うように指導・勧告があります。これに対応しなければ改善命令に移行し、命令にも従わなければ「特定空き家」として認定されることになります。
行政代執行により強制解体されると、その費用と罰金が課されることになるので必ず対応するようにしましょう。
まとめ
空き家の放置は、金銭的な面などで様々なリスクがあります。そして、「空き家対策特別措置法」の施行により、所有者には適切な管理が求められるようになりました。
空き家となった不動産の売却を検討しているなら、資産価値の減少や経年劣化などを考慮すると早めの行動がおすすめです。
空き家の買い手を見つけるには、リフォームを行って資産価値を高めたり、建物を解体して更地として売り出すなどの方法を取ると良いでしょう。
※マネーポスト不動産売却(https://shogakukan-codex.co.jp/lab/fudousan-baikyaku/)