8月末の海外市場では、新興国通貨が大きく下落した。アルゼンチン・ペソが、対ドルで急落し、最安値を更新したことで、アルゼンチン中央銀行は、政策金利を45%から60%に引き上げた。
アルゼンチン国内のインフレ率を抑えると同時に、通貨アルゼンチン・ペソの防衛を計る目的での利上げと思量できる。
つまり、政策金利を引き上げることで、「米ドル買い/アルゼンチン・ペソ売り」を抑制し、市場参加者の気持ちを「米ドル売り/アルゼンチン・ペソ買い」に向けることが、その意図と考える。
政策金利を45%から60%に引き上げたということは、15%の利上げだ。もちろん、大幅な利上げであることは言うまでもない。しかし、この金利政策で、通貨アルゼンチン・ペソを防衛できるかは懐疑的だ。
いや、もっとはっきり言うならば、政策金利が60%の国に誰も投資をしようとは思わないだろうから、通貨防衛は難しいのではないか。60%の政策金利は、やはり異常だ。マーケットは、アルゼンチンに投資すること自体を避ける方向に向かうだろう。
新興国通貨の下落で、メキシコ・ペソや、南アフリカ・ランド、トルコ・リラの下落も目立っている。
そして、新興国通貨の下落は、豪ドルの下落にも波及している。豪ドルは、メジャーカレンシーに分類されることが多いのだが、米ドル、ユーロ、日本円、英ポンドなどと比較すると、新興国通貨に近い性質がある、ということだ。