今年8月、「はとバス」が創立70周年を迎えた。バス旅行と言えばバスガイドの巧みなトークも大きな楽しみだが、1人前になるまでには苦労があるだろう。現役バスガイド3人が、バスガイドの仕事について語り合った。
岡千鶴(東京都出身27歳、入社10年目):2人はどうしてバスガイドになろうと思ったの?
嶋崎愛(埼玉県出身24歳、入社5年目):私は短期大学で教職課程を選択し、先生になりたいと思っていました。でも、就職活動で視野を広げた時、観光や旅行に携わる仕事がしたいなって思い始めて。人に伝える、教えるという学んだことも生かせるバスガイド職を選びました。
長塚愛実(山形県出身21歳、入社3年目):姉がバスガイドをしていて、案内することや行く先々で様々なものを見て学べる仕事にとても魅力を感じて。山形育ちで、東京への憧れもあり入社しました。岡先輩は?
岡:私は中学の修学旅行がきっかけかな。担当のバスガイドさんがその年の3月に高校を卒業したばかりで、デビューが私たちの修学旅行だったんです。すごいなって憧れました。実家が東京で親戚も近場だったのであまり旅行をしたことがなく、遠くへ旅行できる仕事がいいなって思ったのも動機の一つです。
嶋崎:入社試験のこと、憶えていますか?
岡:私は10年前だけど、1日かけて筆記、面接、自己PR、朗読、歌の試験がありました。
嶋崎:私たちも同じです。筆記よりも、バスの中での実技の方がプレッシャーでしたよね。
長塚:実際にバスに乗ってマイクを使うので緊張しました。
岡:歌は何を選んでもOK。私は、高校の吹奏楽部の定期演奏会で必ず歌うオリジナル曲を選び、「絶対、誰も知らないだろうな」と思いながら歌っていた記憶があります。
嶋崎:私は結構渋いんですけど、滝廉太郎の『花』。隅田川が出てくる歌だったので、東京らしいかなと思って選びました。短い歌をどうしても選びたかったという理由もあります(笑い)。
長塚:私は『A Whole New World』を英語で歌いました。
岡:英語! ディズニー映画『アラジン』の劇中歌ですね。
長塚:他に英語で歌う人は多分いないだろうと思って、インパクトを狙いました(笑い)。歌詞カード持参OKだったので、歌詞カードを見て。入社後の研修で最初に習った歌は『東京のバスガール』でしたね。