人生100年時代だからこそ、リタイアしてからも稼いで資産を殖やしていかなければならない。そこで大切なのは「何を選ぶか」ではない。その投資を「いつ始めて」「いつ終えるか」の判断が、人生設計を左右する。
“現役世代の晩年”にあたる50代。子供が独立を迎え、給与などの定期収入も見込める。定年後の資金を蓄えるために、金融商品にまとまった額を投じられるラストチャンスになる。
「ただし、投資経験の乏しい人が定年間近になって『老後に備えよう』と大きな額を一括投資するのは非常に危険です。初心者が一括投資で買いのタイミングを見極めるのは簡単ではなく、リスクの高い金融商品を購入してしまう怖れがあります」(ファイナンシャルプランナーの深野康彦氏)
そうしたアドバイスを踏まえて検討したいのが「iDeCo(個人型確定拠出年金)」。加入者が60歳になるまで、毎月一定額を自ら選んだ投資信託(投信)に拠出する制度である。利点は節税効果にある。
「積立金額が所得控除されるうえ、運用益も非課税です。現役時代のなるべく早い時期に加入すれば、老後の資産形成をしながら所得税や住民税を減らせます」(社会保険労務士の稲毛由佳氏)
たとえば課税所得500万円の人が毎月2万3000円を積み立てた場合、所得税と住民税が年間8万2800円軽減される。50歳で加入すれば、60歳まで実に82万円の節税になる。
「元本保証ではない投信には目減りするリスクがあるものの、節税額を考えればメリットが上回るでしょう」(同前)