人生100年時代を迎え、リタイアしてからも稼いで資産を殖やしていかなければならない。その投資を「いつ始めて」「いつ終えるか」の判断が、人生設計を左右する。
後期高齢者の仲間入りをする75歳からは、老後資金を本格的に「取り崩す」時代に入る。
(事実上の)元本保証である「国債」や「定期預金」との付き合い方にも「やめ時」を考える時期となる。ファイナンシャルプランナーの鴇巣雅一氏が解説する。
「元本割れがないのは投資としてはノーリスクに見えますが、すぐに動かせない資産は生活上のリスクを生みます。国債は購入後最低1年は換金できません。1年以降は自由に解約できますが解約手数料がかかる。80代前後になると、“万が一”の時のためにすぐ使えるお金のほうが必要になってくる」
では、定期預金はどうか。1990年代初頭に大流行したスーパー定期などに馴染みがある60代、70代の場合、現在も定期預金を運用の柱に据えている人は多い。
「年齢で区切るのは難しいですが、たとえば“孫が小学校に入学した時”に解約するなど、自分の基準を作るべきです。ゼロ金利のいま、定期預金を“虎の子”として死守する発想は捨てても良いのではないでしょうか」(同前)
金融商品の変動に振り回されるのではなく、自ら残りの人生と資産を軸として決めていく。それが「老後資産の投資バカ」にならないための要諦だ。
※週刊ポスト2018年9月21・28日号