住んでみたい街の理想と現実には、得てして大きな差があるものだ。憧れのあの街は果たして本当に素敵な街なのか? まったくノーマークだけど、実は住みやすい街は? 今回は「目白(東京都豊島区)」について、ライターの金子則男氏が解説する。
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JR山手線というと、便利な代わりに駅前がゴチャゴチャしていて閉口させられる印象ですが、その中にあって数少ない、落ち着いた駅前が広がるのが目白でしょう。駅の東側には、歴代の皇族の方々も通われた学習院大学があり、その先は日本女子大学もある文教地区。駅の西側は、低層の高級マンションや“お屋敷”と呼ぶに相応しい立派な一軒家が並ぶ高級住宅街です。
鉄道路線は山手線の1線だけですが、山手線が通っているのであれば文句ナシ。お隣の池袋に出れば、西武、東武、東京メトロと選択肢はいくらでもあり、反対の隣駅・高田馬場から東西線で都心部に向かうこともできます。山手線が止まってしまった場合、6~7分歩けば東京メトロ・副都心線の雑司が谷駅があります。都電荒川線という選択肢もあります。
些細な不満を言うなら、駅の出口が1つしかなく、それが池袋寄りの一番端にあることでしょうか。学習院大学の学生の登校・下校時間には、1か所に人が集中して危険な状態になりますし、乗った車両によっては、目白に着いてからホームの端から端まで歩かされることになります。
道路状況は、山手線の駅の中では良い方でしょう。駅の目の前を通る目白通りはそれほど混み合う道ではなく、東に行けば首都高の護国寺入り口に、西に行けば山手通りに抜けられます。このほか、新目白通りや明治通りなど、主要幹線が駅の近くを通っているので、車を持つのはアリでしょう。ただ、池袋や新宿に行くには、遠回りを強いられるうえ、道もメチャクチャに混むので、ぜひとも電車でどうぞ。