この7月に結果が公表された「全国学力・学習状況調査」(通称・全国学力テスト、2017年度)。この調査では、テストに付随して、テストを受けた小6と中3の保護者12万人から無作為に抽出した「保護者アンケート」も実施している。このアンケートは、「両親の学歴」「所得」「就業時間」といった家庭環境や経済状況を尋ね、子供のテスト正答率との相関関係を調べるというもの。アンケート結果からは、親の働き方と子供の学力との関係性も見えてくる。
父親と母親で真っ二つに分かれたのは、親の帰宅時間と子供の学力との関係だ。父親の帰宅時間は選択肢の中でいちばん遅い「22時以降」という家庭の子供の学力が最も高い一方で、母親は「就業していない」という家庭の子供の学力が高かった。つまり、父親はできるだけ遅くまで働き、母親は働かないか、なるべく早く帰宅する家庭の子供の学力が高いのだ。
教育現場からは「やっぱり」との声が上がった。“カリスマ国語講師”として多くの受験生を合格に導いてきた予備校講師の吉田裕子先生が話す。
「中学受験塾の宿題をこなしたり、通信教育の自宅学習を消化したりするには、多くの場合、親が付きっきりで支える必要があります。塾では主に名門中高一貫校に通っている生徒を教えているのですが、ある授業で尋ねると、75%の生徒の母親が専業主婦でした。女性の社会進出が進む時代の中で、この比率は異様ともいえますが、難関中学の入試突破には母親のサポートが欠かせないということでしょう」
子供にべったりと付き添う母親は、動物の行動としては当然である──そう主張するのは動物行動学研究家の竹内久美子さんだ。