最新の統計によれば、アメリカは今年、ロシア、サウジアラビアを抜き、世界最大の産油国となる見込みだ。これが実現すれば、1973年以来のこととなる。
9月11日に発表されたアメリカエネルギー省エネルギー情報局(EIA)の短期エネルギー見通しによれば、8月のアメリカの原油産出量は1090万バレル/日となった。同じ時期のロシアの産油量は1121万バレル/日なので、月次では僅差で下回っているのだが、2018年の予想平均産出量で比べると、アメリカが上回っている。
アメリカの原油生産量は増加し続けている。2017年における平均産出量は940万バレル/日であったが、2018年は1070万バレル/日、2019年は1150万バレル/日に達し、2019年も引き続きアメリカが世界最大の産油国であり続けるとEIAは予想している。
アメリカの原油生産量急増の背景には、シェールオイルの開発が爆発的に進んだ点が挙げられる。過去10年でシェールオイルの生産量は倍以上の増加率となっている。
その一方、シェールオイル開発には莫大な資金が投下されている。リーマン・ショックから10年が経過し、この間、大規模な金融緩和が進んだことにより、GDPに占める企業の債務率が急増しているが、企業債務の内、多くの部分がエネルギー関連となっている。
シェールオイル関連の技術進歩は目覚ましく、生産コストは下落している。とはいえ、企業には高いレバレッジがかかっていることから、金利が上昇すれば収益が大きく圧迫される。