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何とか子供を育て上げたシングルマザーを待ち受ける「家計の落とし穴」

子供を独立させた後に「本当の苦労」が待っているケースも

 日本の離婚率は約35%。シングルファザー、シングルマザーも増えている。仮に離婚となれば激変するのが「家計」だ。特にシングルマザーにとっては、目先の生活を何とか乗り切ったとしても将来には大きな落とし穴が待っている。ファイナンシャル・プランナーの清水斐氏が対策を解説する。

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 厚生労働省が昨年発表した「全国ひとり親世帯等調査結果」によれば、母子世帯数は123.2万世帯、父子世帯数は18.7万世帯となっています。では、その平均年収はどうなっているかと見ると、母子世帯は243万円、父子世帯は420万円。女性の社会進出は進んでいますが、シングルマザーの収入はシングルファザーの6割以下という現実があります。

 結婚していたときは専業主婦で収入がゼロだった、あるいはパート勤務で収入が少なかったという女性の場合、離婚のタイミングで正社員として働き始めたり、在宅ビジネスを始めたりして収入を増やそうとするでしょう。そうして頑張って働いて、平均年収243万円ということは、月々20万円。養育費を受け取ることができたとしても、決して楽な生活ではありません。

 それでも何とか子供を育て上げ、独立させた──ようやくホッとしたところに、シングルマザーならではの落とし穴が待っているのです。

「年金」です。特に結婚していた時が専業主婦だったり、パートで年金に加入していなかった場合は、年金が少なくなりがちなのです。

月6万5000円しかもらえない人も

 年金は、基礎年金(いわゆる1階部分)と厚生年金(いわゆる2階部分)に分かれます。

 基礎年金(1階部分)は、20~60歳まで40年間納め続けた場合の満額で受給できるのは年間78万円。専業主婦だった期間は(元)夫が会社で払っていた年金保険料によって加入していることになっている(第3号被保険者と呼ばれます)ので、学生時代や離婚後に未納期間がなければ、ほぼ満額受け取れるはずです。

 ただし年間約78万円ということは月々およそ6万5000円。これだけでは生活できません。

 厚生年金(2階部分)は、加入期間(会社員として働いていた期間)と、その間の収入によって受給額が増減します。平均月給25万円だとすると、40年間務めた場合でざっと月8万円弱。平均月給30万円だとすると月10万円弱になる計算です(ボーナスなどによって異なります)。加入期間が半分の20年間だとすると、もらえる金額も月4万~5万円と半分になります。

 1階部分の基礎年金と合わせても月10万円そこそこの収入しかありません。結婚していた時代に専業主婦や厚生年金に加入しない形でパート勤務をしていた期間が長ければ長いほど、2階部分は少なくなります。これは女性ならではの悩みと言えるでしょう。

 さらに、離婚後も在宅ワークなどで稼ぐ「自営業」だった場合はもっと苦しくなります。厚生年金に加入した経験がなければ、受け取れる金額は1階部分の月6万5000円だけになってしまうからです。

 結果として、年金がもらえる65歳を過ぎても働き続けなければいけないケースが出てきます。これがシングルマザーの落とし穴です。

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