2018年秋の全国交通安全運動が9月21日~30日まで実施された。今回は、「子供と高齢者の安全な通行の確保と高齢運転者の交通事故防止」や「夕暮れ時と夜間の歩行中・自転車乗用中の交通事故防止」などが目標として掲げられた。
全国交通安全運動の期間中、主要な国道・都道の交差点や横断歩道などにテントが登場するのがおなじみの光景。だが、意外と知らない“テントの中の人”は何者で、何をやっているのか? 今年初めて“交通安全を呼びかける側”になった男性が語る。
初めて同活動に参加したTさんは、東京の下町に住む40代の男性。Tさんはもともと下町育ちで、就職後しばらく実家を離れていたが、数年前に結婚し、子どもが出来たのをきっかけに実家に戻った。中学から私立に通ったため、これまでに地元の付き合いが一切なかったTさんだが、交通安全運動に参加した理由について、次のように説明する。
「ウチは祖父の代から地元で小さな工場を経営しており、母も地元の人間。そんなこともあって、父は町内会活動に積極的に携わっており、交通安全運動にも協力してきましたが、高齢になったため、今回、私が初めて参加しました」
Tさんが住む区の交通安全運動の実施要項を見ると、主催機関には交通安全協会、警察署、教育委員会などが名を連ねており、協賛団体として自治町会連合会、商店街連合会、PTA連合会などの名が並んでいる。Tさんは町会の一員として参加したわけだ。
Tさんが駆り出されたのは3連休の中日。
「年齢が若い私は、まずテントを用意するメンバーに指名されました。指示されるままにテントを立て、パイプ椅子を用意すると、女性陣が紙コップとお茶を持って登場し、『お疲れ様です』『こんにちは、○○の息子です』といった型通りの挨拶。それを済ませると、黄色い旗を持って交代で道路に立つことになりました」