今年後半はLINEやリクルートホールディングスなど大型案件の新規上場が予定されているIPO(新規上場)市場。とはいえ、今年前半は特に大型IPO株が公募価格割れするケースも目立った。今後のIPO投資はどんな戦略をとればよいのか、投資情報サイト「東京IPO」編集長の西堀敬氏が解説する。
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今後のIPO投資の攻略法は、大型株と小型株で戦略を変えた方が得策といえそうだ。それを踏まえた上で、今後のIPO投資の新攻略法を紹介しよう。まずは、次のような戦略が指摘できる。
【攻略法1】小型IPO株は公募価格で買って、初値で売り抜ける
今年に入って新興市場にIPOされた小型株の全11銘柄中、初値騰落率(初値が公募価格に対して何%上昇したか)がマイナスとなったのは1銘柄のみで、しかも初値が現在まで天井となっている銘柄が多い。つまり、小型株については、昨年同様、公募で買って初値で売る戦略が鉄則になるということだ。
IPOする銘柄のブックビルディングにかたっぱしから参加し、公募価格での取得にチャレンジしてみる。その結果、公募価格で取得できれば、確実に儲かる可能性が高いということだ。
【攻略法2】小型IPO株の高値抜きはさらなる高値を目指す
機関投資家などが行なうシステム自動売買の一種にアルゴリズム取引というものがある。その中に、ある銘柄が高値を抜けると、それをトリガーとして買いに出るような仕掛けのものがある。
流動性の低い小型株は、特にそうしたアルゴリズム取引の影響を受けやすく、高値を抜くとその上の高値水準をつけに行く銘柄が少なくないようだ。そこから、IPO後の値動きで高値を抜いた銘柄は、さらなる高値を目指す動きが予想され、狙い目となりそうなのだ。
現状でいえば、大型IPO株では「公募買いの初値売り」戦略は取れそうにない。それどころか、公募価格で手に入るといわれても、丁重にお断わりした方がいいとすらいえる状況なのである。とはいえ、大型IPO株でも勝てる戦略がある。
【攻略法3】崩れた大型IPO株の底値反転を狙う
今年の大型IPO株は、需給が悪いと上場直後からいったん値を下げる傾向が見られる。ただし、時価総額の大きい銘柄はETF(上場投資信託)やその他の指数連動型ファンドなどが組み入れざるを得ないので、1週間後ぐらいからそうした買いが入り始めて、反転上昇する銘柄が多いのである。
たとえば、今年3月18日に東証1部上場を果たした日立マクセルは、初値で公募価格割れの1971円をつけた後、約1週間で1650円まで下落したが、そこから上昇に転じたのだった。3月19日に東証1部に上場したジャパンディスプレイも、同じような値動きを示した。
つまり、初値が公募価格割れし、上場後も下落した大型株は1週間程度でいったん底をつけ、リバウンドする可能性が高いということだ。そうした崩れた大型株を底値近くで買うことができれば、2割程度の株価上昇が期待できそうだ。
※マネーポスト2014年夏号