大前研一「ビジネス新大陸」の歩き方

企業の「四半期決算」の問題点をどう解決するか、大前研一氏が解説

「四半期決算」をどう見直すべきか(大前研一氏)

 なぜ企業の決算報告は四半期ごとに行われているのか。経営コンサルタントの大前研一氏が、古くから続く慣行である四半期決算そのものを見直すことの意義と実現可能性について、解説する。

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 上場企業の決算報告を四半期から半期に延ばすべきだという声が大きくなっている。

 たとえば、トランプ大統領は8月中旬、米証券取引委員会(SEC)に四半期決算の見直しに向けた検討を指示したことをツイッターで明らかにした。報道によれば、休暇先のニュージャージー州のゴルフクラブに多くの大手企業幹部を招いた際、10月に退任するペプシコのインドラ・ヌーイCEO(最高経営責任者)から、四半期ごとの決算報告を半期ごとに変更するよう提案されたという。

 これが実現すればアメリカはEUおよびイギリスと歩調を合わせることになり、多くの国の企業会計に影響を与えるとも報じられている。

 トランプ大統領の政策や発言はほとんど支離滅裂だが、今回の件はそれなりに評価できる。

 もともと四半期決算の見直しを求める声はあった。『日本経済新聞』(6月8日付)によると、アメリカの著名投資家で「オマハの賢人」「投資の神様」とも呼ばれるウォーレン・バフェット氏は、米紙『ウォールストリート・ジャーナル』に寄稿し、四半期決算ガイダンス(利益予想)の廃止を提言している。

 その理由は「企業が四半期決算に縛られると数字合わせという操作に走り、長期的な重要関心事に反した愚かなことをする」というもので、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOも「四半期の数字作りのため、CEOはマーケティング予算を削減したり、新規支店を断念したり、安売り競争を展開したりする。バフェット氏のおっしゃるように、数字操作は自己増殖するものだ」と同調した。

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