米国債10年の利回りが10月3日(水)から急上昇しており、5日(金)終値では3.233%となった。これは2011年以来の高水準だ。
米国金融市場で金利が上昇すれば、海外からドル資産に資金が流入し易くなる。その点は株式市場にとってはプラスであるが、一方で、株式市場から金利の高くなった金融商品へと資金シフトを起こす要因にもなる。
今年の2月上旬にNYダウ指数が急落したがこの時、米国債10年の利回り急上昇が主な要因であった。足元では、8月下旬を底に再び上昇トレンドが出ており、株式市場への影響が懸念される。
週足ベースでみると、前週のNYダウ指数はわずかな下落に留まったが、NASDAQ総合指数は3.2%下落となっている。一般に成長株は金利上昇に弱い面がある。
NASDAQ総合指数は8月29日に高値(終値ベース)を付けた後、下落に転じ、9月17日に安値を付けた。その後は戻り歩調となったが、過去最高値を超えることなく下落、5日の終値は、9月17日の安値を下回っている。テクニカルにみると、初歩的な下げ相場の兆候を示している。
このまま、金利上昇が続けばアメリカ株式市場は9年半以上続いた長期上昇相場の大天井を打つ可能性がある。
金利上昇の要因としては、減税、積極財政により足元の景気が良いこと、FRB(連邦準備制度理事会)が金融システムの正常化を進めていることなどが挙げられようが、需給要因も無視できない。
2018年3月末時点における米国債残高は17兆460億ドルで、前年同月比で7.4%増加している。これは、減税、積極財政による財源確保による影響が大きい。その保有主体をみると、海外機関が38%で最大。続いて、ペンションファンド、金融当局がそれぞれ14%、ミューチュアルファンドが12%、個人が10%を占める。そのほか、政府部門、銀行、保険会社なども所有している。