「生涯現役社会」に名を借りた“年金支給先延ばし時代”が近づいている。安倍政権が進めようとしている年金大改悪で、年金の支給開始年齢が現行の65歳から68歳、さらに70歳以上へと引き上げられようとしており、受給者から年金を減らす一方で、保険料負担を増していく仕掛けがある。
迫り来る厳しい時代を生き抜く対策を立てるには、まず自分が置かれている現状を冷静に分析する必要がある。「大損する」のはどんな人なのか、年金制度を駆使すれば「救われる」のは誰なのか。
例えば、妻の年齢は年金額に大きく影響する。厚生年金への加入期間が20年以上ある夫が65歳になった時、年下の妻がいれば年間約39万円が夫の年金に上乗せされるのが「加給年金」という制度だ。
加給年金は妻が65歳になるまで支給されるため、年下妻との年齢差が多いほど受給期間が長くなる。“年の差婚”ほどメリットが大きくなるのだ。加給年金をもらうためには、年金事務所で申請する必要がある。
では、年上妻の場合はどうか。
「残念ながら、加給年金はつきません」と語るのは、社会保険労務士の笹尾訓收氏だ。妻が先に年金をもらい始めているため、夫が年金を受給し始めても家族手当(加給年金)は支給しなくても生活していけるだろうという“お上の論理”だ。
自分の2階部分がない専業主婦の妻にとっては、月約6万円のいわゆる1階部分(基礎年金)しかもらえないことになる。理不尽極まりないが、「年上女房」の場合でも、世代によっては不利をカバーできるケースがある。それが「振替加算」だ。